今回は、第4回に引続き「帳簿の作成」と、身近にも感じる「消費税」についてお話したいと思います。
* ここからは、サロン開業ch編集長のオススメする弥生の会計ソフトを使用し、解説していきます。
難解でしかも面倒な「帳簿の作成」も、会計ソフトを使えばカンタンにできる、というのが前回お話した内容です。会計ソフトにある「簡単取引入力」機能であれば、誰にでも理解できる日本語で誘導してくれるのです。いきなりソフトウェアを購入することに抵抗がある方は、前回紹介した、無料体験版をダウンロードしてご自身で使用してみることをオススメします!!
今回は、
①帳簿作成(=入力)を始める前の設定
②1年間の帳簿作成を終えて申告書の作成に向かうための準備、という2点についてお話しいたします。
1、入力を始める前に・・・。
会計ソフトを購入してまず最初に必要なのが、基本情報の設定です。とは言っても硬くなる必要はありません。パソコンにインストールする時に「導入アドバイザー」という機能が作動し、設定項目の選択を求められても、何を選択すればよいかを誘導してくれます。また、購入したソフトウェアには「業務マニュアル」なるものが付属していますので、両者をあわせて参照すれば、どなたでも問題なく設定が行えます。主な設定項目は以下のとおりです。
① 事業所情報
② 消費税処理の設定
③ 勘定科目・補助科目の設定
④ 前期繰越残高の入力
①、③、④については、会計ソフトの自動設定機能、マニュアルを利用することで解決できると思います。でも、②消費税処理の設定という部分については、そもそも消費税とはどういうものか?どういうことを考えなければならないのか?という点で敬遠されそうな内容ですが、ここでは、「消費税処理」に話を絞ってご説明いたします。
ちょっと難しいところもありますが、皆さんにとって、知るのと知らないのでは大きく変わってくるところなので頑張ってお付き合いください!!
そもそも、「消費税って!?」
「消費税」は、私たちが生活していくなかで最も身近な税金の一つです。しかし、普段の買い物を通じて「支払って」はいますが、「納税して」はいません。その消費税の発生から申告・納税までの仕組みを理解している方は(中小企業の経営者も含め)意外に少ないのが現状ではないでしょうか。税金を負担するのは一般消費者であり、負担した消費税を納税をするのが事業者(会社、個人事業主)となります。ご存知でしたか?
サロンを経営する中でお客様から受取った消費税と、材料・設備・備品等などの仕入で支払った消費税の差額を納税することになります。つまり、販売する商品・サービスそのものの価格に税金分を上乗せして請求する一方で、購入する材料・備品そのものの価格に税金分を上乗せして請求されるわけです。ここで言う、上乗せした分というのは、本来事業者のものではなく、最終消費者から単に預かっただけのものであり、「一定の手続」を踏んで、国庫に納めることになります。
ここからが重要なポイントです。仮に預かった消費税があったとしても、事業者の選択するステータス(もしくは過去の売上実績)によっては、その資金を納税することなく、そのまま利益としてしまうこともできるのです。これを、一般的に「益税」と呼んだりします。そして、申告をしなくてもよい事業者を「免税事業者」、申告をしなければならない事業者を「課税事業者」と呼びます。
ご自身が免税事業者となるのか、課税事業者となるのかについては、法人・個人で若干異なりますが、下の表をご覧ください。

しかし、ここで考えなければならないポイントがあります。それは、「免税事業者」であれば必ず得をし(益税が発生し)、「課税事業者」であれば必ず損をする(納税をする)ということではありません。
「消費税」の仕組みをもう一度考えてみましょう。商売を通じて受取った消費税と支払った消費税の差額を納税する、ということです。では、受取った消費税よりも支払った消費税の方が大きい場合はどうなるのでしょうか?この場合は、消費税の確定申告をすることにより、国庫から還付されます。しかし、「免税事業者」であれば、申告をしない・出来ないので、納税しなくてもよいだけでなく、還付の手続をすることもできない、ということになります。
ココで言う、還付とは、預りよりも支払いが多い状況、たとえば、店舗営業開始のために多額の設備投資を行う場合、つまり開業時などがあてはまります。ですので、将来の事業計画を立て、ご自身の消費税の申告内容をあらかじめ想定しておく必要があります。
上のチャートにあるように、「2年前の売上が1,000万円以下で資本金が1,000万円未満であれば」免税事業者になるのですが、この場合、一定の手続を経て、期限までに税務署に対して書類(課税事業者選択届)を提出することで課税事業者になることができます。つまり、申告をすることで還付を受けたいという場合には、この方法を利用します。
次に、課税事業者で、かつ納税をするというポジションである場合、納税額の計算方法を選択することができます。計算方法には、本則課税と簡易課税があります。
「本則課税」 :預かった消費税/支払った消費税の両方の差額として納税額を決定します。
「簡易課税」 :消費税の納税額の計算を簡便に行うということで、預かった消費税については、本則課税と同様に実際の取引金額に基づいて計算し、支払った消費税(経費や在庫、設備投資にかかる消費税)に関しては、実際の取引金額によらず、預かった消費税の●%相当額を支払った消費税とみなす、として計算するものです。
これは、事業の種類によって●%が異なってくるのですが、例えば理美容業において、通常の散髪・シャンプー・パーマなどの「サービス提供」業だけであれば、サービス業として●%を判断しますが、あわせてシャンプー等物品の販売も行っているのであれば、その部分は小売業となります。
つまり、本則課税の際には考えなくてよかった「事業内容に応じた売上の分類」が必要となってきます。この部分、面倒くさそうに思えますが、ソフトウェアにて売上の内訳カテゴリを複数設ければ済む話ですので、入力時に気を付ければ、それほど負担になるものではないと思います。
ここで注意しなければならないポイントは、本来何も手続をしなければ免税事業者であるのに、還付を受けたいために課税事業者選択届を提出し、自ら課税事業者になることを選択した事業者である場合に、簡易課税の届出をしてしまうと、還付が受けられなくなってしまい、元々の目的(消費税の還付)が果たせない可能性があります。
さらに消費税を考えるために、とても重要なことがあります。それは、「給与を支払う」という行為は、消費税の対象外であるということです。どういうことでしょうか?
例えば、200,000円(税込)のパソコンを購入したとします。この場合、9,523円(=200,000÷1.05×5%)が支払った消費税額、190,477円がパソコン本体の価額となります。一方、200,000円の給与を支払った場合、200,000円全額が従業員の労働の本体価格となり、支払った消費税という概念が登場しないのです。
他にもこういった項目はたくさんあるのですが、一番金額が大きく、かつ経常的に発生するものとして、給与の支払という「購入」行為には消費税がかからないものとして知っておかなければなりませんね。
* ちなみに、外注業者に支払った業務委託費は給与とは全く別で、消費税の対象取引です。
そこで、スタッフを雇用せずに業務委託で運営しているサロンも中にはありますが、このようなケースでも、あらかじめ会計ソフトの標準設定として考慮されていますので、実際の入力時はそれほど気にする必要はありません。
最後に、「課税事業者選択届出書」及び「簡易課税選択届出書」の提出に関する手続及び注意点について表を掲載しておきます。特に事業開始1年目などは、通常の事業年度とは異なった状況(例えば、設備・内装などの投資が多額に発生するなど)にある場合が多いため、ご自身の消費税申告のステータスをどのようにしたら一番有利になるかを考え、慎重に対応する必要があります。
そうは言っても、開業準備には忙しく考えられないかもしれませんが・・・。
忙しくなる前に、勉強しておきましょう!!

今回、消費税の概念について、ポイントとなる点のみをかいつまんで説明しました。当然、「消費税法」というタイトルで数センチの厚さの本が1冊書ける、というような法律ですので、お話した内容以外にも決まりごとがたくさんあります。ですから、実際に届出書を提出する、申告書を提出するという段階になったらば、一度、会計事務所にご相談されることもおすすめいたします。届出書(紙1枚)を期限内に出すか出さないかによって、天と地の差が生まれますよ!
※注※
税務については個別ケースで異なる場合もございますので、会計事務所もしくは税務署へご確認ください。
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- 場合によっては、消費税は納税ではなくて、利益に変わる。
- 「消費税」は身近で、馴染みあるが、「消費税法」のマニュアルは厚い!! 経営者は消費税の仕組みだけでも理解しよう!!
次回は、「帳簿を完成させる!!」、次々回は「確定申告書の作成と提出」となります。
